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カウンセリングに対して

 実は私には、心のどこかで拘りつつも、同時に嫌悪感に近い感情も抱いている仕事があります。それはカウンセリングの仕事です。
 もともと精神医学の領域に興味があったので、大学は心理学部に進学しました。しかし、(恐らく今でもそうだと思うのですが)文系で精神科領域で必要とされる専門職はかなり限られており、正規の職員としての採用も少ないと言われていました。
 臨床心理士の資格を取るためには大学院修士課程を修めていなければならなかったのですが、私は大学院受験で不合格だったため、その道を諦めました。
 
 やり残したことに後悔があるのか、自分ではそのつもりはなくてもどこかでまだそのような仕事に拘っているところがあるのだと思います。なんとなく自分で分かっているのは、対人的な仕事が好きだということと、経験を積むほど探求的になれる仕事が好きらしいということです。
 それではカウンセラーに拘ることはないではないかと言われそうですが、カウンセラーを指向したのは、人間の心のしくみに興味があったことであって、文系でそれに携われる仕事といったらカウンセラーくらいしか思いつかなかったというのが正直なところです。

 未だにカウンセリングの仕事にプラスのイメージだけを抱いているのなら、恐らくもっとはっきりとその仕事に対して憧れの気持ちを持っていると思います。しかし10年以上会社員の仕事をやった経験から、今ではカウンセリングの仕事に対して疑問も感じています。

 仕事ですから、お客さんから求められる成果を出してこそ報酬が得られます。カウンセリングで求められる結果とは、もちろん「症状が治まる」とか「悩みが解決する、気持ちがすっきりする」というようなことでしょう。 
 身体の病気に対して薬が効くのは、病気のメカニズムや薬の薬理作用がどんなものかが分かっていて、これを投与すれば体内でどういうことが起こって症状が消失するという因果関係が明確だからです。しかし心の不調というのは、現代でももちろんまだ本当のしくみが分かっていません。当然ですが、顕微鏡で覗いたりレントゲンで観察したり出来ませんから、客観的に把握するのは非常に難しいです。

 だからこそ昔から、いろいろな精神科医や心理学者、分析家などがいろいろな人間心理についての理論を打ち立て、それに基づいて治療方法を編み出しました。精神分析や来談者中心療法などです。
 どんな療法でもおそらく必ず効果が出ないクライエントさんもいるはずです。逆に、治ったクライエントさんでも、「なぜその療法が効いたのか」ということは本当のところは分かりません。さっきも書いたように、レントゲンや胃カメラで観察することが出来ない以上、「この療法を施した」というスタートから「症状がなくなった」「心か落ち着いた」というゴールまでの間の過程はブラックボックスです。心理療法でよくなったという患者さんの中には、もしかしたら「ひたすら聞いてもらえたことで気持ちが楽になった」というだけの人もいるのかも知れません。そうなったら、カウンセリングって何だろう・・?と思うようになったのです。
 もちろんプロの方の中には、「それでも結果的に患者さんが楽になって救われたのなら、それでカウンセリングは役に立ったんだ」と解釈される方もいらっしゃると思いますが、私がお金を払ってカウンセリングを受ける患者の立場であれば、ちょっと納得できないような気がします。

 そうは言いながらも、最近の私も含めて、今の世の中には「どうしたらいいか分からない」「自分で自分の感情を抱えきれない」などの心理的な不調を感じている人がどんどん溢れていることも感じます。
 今回、自分のこれからの仕事を見つけようと考えたとき、「自分もまた必要としているサービスは、社会からも必要とされている」と思い、その直感を仕事探しの羅針盤にしようと思っていました。その意味では今、私がもやもやしている気持ちを吐き出したいとか聞いて支えて欲しいと思っている気持ちは、そのまま社会がカウンセラーに期待している気持ちでしょう。
 でも恐らく、純粋な自然科学のようにはこころの分野にはまだそれに応えられる客観的な解答がないのでしょう。だから私のように、カウンセリングとはどうしてもどこか胡散臭さというか曖昧さが残ってしまって本気になれないのだと思います。

 対人援助の仕事とは、広く解釈すれば社会に存在する仕事全てがそうであるとも言えますし。そう考えれば何をやったって自分の希望にかなうはずなのですが、やっぱりどこかで、もっと肌で実感できる何かを得たいという気持ちもあります。



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テーマ : 働くということ - ジャンル : 就職・お仕事

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